容疑者:
- 河北省出身の呂月庭容疑者。35歳。(読売新聞報道では36歳)
- 河北省石家荘市の「天洋食品」の元臨時工員。呂容疑者は食堂の管理人をしていた。
- 取り調べに対して容疑を認めている。
- 長期間、臨時工をしていても正社員になれないことが不満だったと供述。
- 他の職員との間にトラブルがあったとも供述。
- 2007年夏に有機燐系殺虫剤「メタミドホス」を餃子工場内で盗んだ。
- 餃子への混入は、冷凍保存庫で注射器を用いて3回にわたって注入した。
(尚、工場側は一貫して「メタミドホスは工場内にはない」と否定していた) - 捜査当局は多数の目撃証言も得たとしている。
- 犯行に使われたとみられる注射器が2本ほど下水道に捨てられていたのが見つかる。
- 注射器には事件で検出された有機燐系殺虫剤メタミドホスが付着。
- 現在は、刑事勾留(けいじこうりゅう)の段階。このあとは、逮捕された後、起訴の手続きへと進むことになる。【刑事勾留:捜査機関が検察の承認を得て行う勾留措置】
経緯:
- 2007年6月3日、10月1日、10月20日、後に毒物が混入される餃子が製造される。
- 2008年1月 中国の天洋食品製の冷凍餃子に毒物(メタミドホス)が混入され、これを食べた千葉県・兵庫県の10人が中毒症状を訴える。
- 2008年6月中旬、中国で天洋食品製の餃子を食べた4人が中毒症状を訴える。
- 2010年3月26日夜、中国政府から日本政府に対し、 製造元の臨時工員だった中国人の男を捜査当局が拘束した、との通告があった。
- 2010年3月26日、新華社通信が容疑者拘束を伝える。
- 2010年3月27日、各方面が談話を発表。
- 鳩山由紀夫首相:「中国側関係者の努力を評価し、更なる真相究明を期待する。引き続き中国側との間で意思疎通を密にし、相互に協力していく。本件が早期に解決し、日中関係が更に発展する事を期待する」
- 岡田克也外務大臣:「中国当局の大変な努力の結果、ここまで漕ぎ着けて頂いた」
- 日本の外務省:外務報道官が談話を発表。「我が国政府は一貫して事件の真相究明を重視しており、中国側の警察を含む関係者の努力に敬意を表したい。これを機に、更なる真相究明が進むことを期待している」「引き続き、中国側との間で意思疎通を行い、情報提供を求めていきたい」
- 2010年3月26日深夜~27日未明、現地メディアが当局から報道・取材規制の通達を受ける。(読 売新聞:関係筋の話として掲載)
- 通達対象:中国河北省石家荘市の地元メディア。
- 通達内容は、独自取材の禁止、国営新華社通信の配信記事だけを使う事の2点。
- 中国の警察当局は発生当初から、天洋食品が雇っていた約850人の臨時工に焦点を絞って捜査を実施。
- 全従業員に30万元(日本円で約400万円相当)という異例の高額報奨金を掛けて情報提供を呼びかけた。
- 捜査の結果、頻繁な賃金カットやリストラで、多くの臨時工が労働条件に不満を持っていたことが分かったとのこと。
- 臨時工の労働条件:
- 勤務時間:10数時間/日
- 月給:800元(約1万円)前後